大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所木更津支部 昭和44年(ワ)43号 判決

原告

吉田清

ほか一名

被告

長野一登

ほか一名

主文

被告両名は連帯して原告吉田清に対し金一、〇一七、五九〇円、原告大清建設有限会社に対し金二五、〇〇〇円及び内金九六七、五九〇円に対する昭和四四年九月四日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

原告等その余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを四分し、その三は原告等の、その一は被告等の各負担とする。

この判決は原告等勝訴の部分に限り仮に執行することができる。

事実

原告等訴訟代理人は、被告両名は連帯して原告吉田清に対し金三、八八一、二四〇円、原告大清建設有限会社に対し金一四九、七八五円及び前者の内金三、五一六、三九〇円、後者の内金一二〇、〇〇〇円に対する本訴状送達の翌日から各完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金を支払え。訴訟費用は被告等の負担とする、との判決竝びに仮執行の宣言を求める旨申立て、その請求の原因として、

(一)  被告長野一登は被告有限会社長野農機商会の代表者であり且つ被告会社の自動車運転業務に従事している者であるが、昭和四四年五月二六日午後零時一五分頃被告会社所有の普通貨物自動車(千葉四ゆ八四二一号)を運転して木更津市住吉方面より同市本郷二丁目六番二三号地先国道一六号線に右折横断しようとして右国道入口に差しかかつたのであるが、かかる場合国道上を走行する車両の状態を確かめ、その安全を確認してから右折を開始すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、右国道の左側に添つて君津郡袖ケ浦町方面から木更津市長須賀方面に向け時速約三五キロメートル乃至四〇キロメートルで進行して来る原告吉田清運転のバイクが一〇メートル位まで接近しているのに気付かなかつたか、或いは気付いていたにも拘らず、突如右折横断を開始し、歩道より国道上に一メートル以上も進出した地点で原告吉田のバイクに衝突転倒させ、因つて同原告に左下腿複雑骨折、顔面打撲挫創等の傷害を負わせた。

(二)  従つて、被告長野は前記過失に基づき、被告会社は右事故車の支配者として、若しくは業務執行者として、被告両名は連帯して原告等両名に対しそれぞれ右事故により原告等が蒙つた損害を賠償する義務がある。

(三)  原告吉田は前記負傷により事故当日木更津市内榎本病院に入院し、現在まだ入院中である。

(四)  原告吉田の損害

(1)  入院治療費 金二七五、九九〇円

昭和四四年五月二六日より同年八月三〇日まで入院治療を受け、その費用として合計金二七五、九九〇円を榎本病院に支払つた。

(2)  附添料 金六五、〇〇〇円

前記入院期間中原告吉田の妻が附添看護したが、その附添料を一日金一、〇〇〇円と見積り六五日分合計金六五、〇〇〇円である。

(3)  雑費 金一一、〇〇〇円

入院中の諸雑費は少なくとも一日金二〇〇円以上であるから、これを金二〇〇円と見積り五五日分金一一、〇〇〇円を請求する。

(4)  通院治療費 金一五、五〇〇円

昭和四四年九月二日より同年一〇月二一日までの間に一三日間榎本病院に通院治療を受け、その費用として金一五、五〇〇円を同病院に支払つた。

(5)  再手術に要する費用 金五〇、〇〇〇円

原告吉田は前記骨折のため、止め金具が入つており、近い将来その除去手術を受ける予定であるが、その手術治療費・入院費・附添料、雑費等として金五万円以上を要する見込みにつき右金員の支払を求める。

(6)  逸失利益 金一、八七二、七五〇円

(イ)  原告吉田は原告会社の代表者であると共に、大工として原告会社のため稼働していて、毎月金六万円の収入を得、税等を差引いても金五五、〇〇〇円以上の純利益があつたが、本件事故当日から入院し、現に退院できないでいるが、退院できても少なくとも昭和四四年一二月末日までは就労不能であり、その間七ケ月の中昭和四四年八月一日から同年一二月末日まで五ケ月分の給与を得られず、得べかりし利益金二七五、〇〇〇円を喪失した。

(ロ)  原告吉田は、右負傷による後遺症のため生涯高い所へ上ることも、力仕事も出来ず、大工として稼働することは困難と思料されるところ、同原告は事故当時五九才であつたから、簡易生命表によればなお一五年以上生存することができ、就労可能年数はその二分の一の七年六ケ月となり、同原告の収益は二分の一に減少すると思料される。そこで、前記月額の利益金五五、〇〇〇円を二分した金二七、五〇〇円の昭和四五年一月一日より昭和五一年一一月末日まで六年一一ケ月間の総計は金二、二八二、五〇〇円となる。今これを一時に請求するので年五分の割合で中間利息を控除するとホフマン式計算法により、その七〇パーセントを右逸失利益額に乗ずると金一、五九七、七五〇円となり、これが被告等の一時に支払うべき金額である。

(7)  慰藉料 金一、五〇〇、〇〇〇円

原告吉田は永年大工として修業し、努力の結果信用を得て、現在多量の注文を受け、いよいよその敏腕を振うべき時期に、本件事故により生涯大工の仕事を断念せざるを得なくなつたので、その精神的苦痛は甚大であり、慰藉料として金一五〇万円が相当である。

(8)  弁護料 金一〇〇、〇〇〇円

原告吉田は被告等と示談交渉をしたが、被告等は全く相手にしなかつたので、已むなく昭和四四年八月一七日千葉弁護士会所属弁護士樫尾昭一郎に委任し、同人を訴訟代理人として本訴を提起し、その着手手数料として金一〇万円を支払つたが、これは日本弁護士会報酬基準規則及び千葉弁護士会同規則各所定額を下廻る金額であり、原告は弁護士に訴訟委任しなければ権利の実現が困難であるから、右弁護士費用は本件事故と相当因果関係にあるので、被告等はこれを支払うべき義務がある。

(五)  以上原告吉田の受けた損害は合計金三、八八一、二四〇円であるが、右金額の内再手術経費金五〇、〇〇〇円は将来支出の見込であり、又昭和四四年八月一日より同年一二月末日までの金二七五、〇〇〇円は将来の逸失利益金として右合計金三二五、〇〇〇円については現時点において遅延損害金の請求をしない。よって、被告両名に対し連帯して原告吉田に金三、八八一、二四〇円及びその内金三、五一六、三九〇円に対する本訴状送達の翌日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(六)  原告会社の損害

(1)  バイクの修理代 金二九、七八五円

本件衝突事故により原告吉田の乗つていた原告会社所有のバイクは破損し、その修理代は金二九、七八五円であるから、被告等両名はこれを賠償する義務がある。

(2)  原告吉田に支払つた給与金一二〇、〇〇〇円

原告会社は原告吉田が本件事故により入院していて仕事もできないのに同原告に対し昭和四四年六月分、七月分の給与として合計金一二万円を支払い、右同額の損害を蒙つた。因に、原告会社は同族会社で原告吉田の個人的な会社である。

(七)  以上原告会社の損害は合計金一四九、七八五円であるか、バイクの修理代は未払につき、現時点においては遅延損害金の請求をしない。よつて被告両名に対し、連帯して原告会社に金一四九、七八五円及びその内金一二〇、〇〇〇円に対する本訴状送達の翌日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるため本訴請求に及んだ次第であると述べ、被告等の過失相殺の抗弁を否認した。〔証拠関係略〕

被告等訴訟代理人は原告等の請求を棄却する。訴訟費用は原告等の負担とする、との判決を求め、原告等の請求原因事実に対し、(一)の中、被告長野の地位、普通貨物自動車(千葉ゆ八四二一号)が被告会社の所有であること、被告長野が木更津市住吉方面から同市本郷二丁目国道一六号線入口に差しかかつたこと、原告車と被告車が接触して原告が負傷したことは認めるがその余は争う。被告長野の過失は否認する。(二)は争う。(三)の中原告吉田が入院中であることは否認する。(四)の中、(1)(2)(3)(4)(5)はいずれも不知。(6)の中、原告が大工であることは認めるが、その余は不知。(7)は否認。(8)は不知。(六)の中、(1)は否認。(2)の中、原告会社が同族会社であることは認めるが、その余は不知と答弁し、本件事故の状況は以下述べる通りである。即ち、被告長野は前記貨物自動単を運転して倉形ビル駐車場脇まで進行したところ、国道一六号線には上り下りの自動車が多かつたので一時停止し、二、三分停車した後上り下り共通過車がなくなつたのを確認したので約一メートル前進したとき、右方から急に大型車が通過したので更に一時停止した結果国道一六号線上へ約六〇センチメートル進入した。この位置で被告長野は右方約一八メートルの地点に、原告吉田が時速三〇キロメートル以上で原付自転車を運転進行して来るのを発見したので、その通過を待つため、その儘その位置で停止した。ところが、同原告は顔を斜右下方に向けたまま通過しようとして、原告車の左側ステツプが被告車のナンバープレートに接触し、原告車のハンドル握りゴムが被告車のボンネツトを擦つたため、同原告はハンドルをとられ、被告車の左側バツクミラーに同原告の顔面が当り、同原告はノーブレーキの儘、右斜前方対向車側の縁石まで行つて同所に転倒したものである。このように被告長野に運転上の過失はなく、却て原告吉田に過失があり、被告車には構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたのであるから、原告等の本訴請求は失当として棄却さるべきである。仮に被告長野にも何らかの過失があるとしても、原告吉田の過失に比し極めて軽微であるから、損害額の算定に当つては同原告の過失か斟酌さるべきであると主張した。〔証拠関係略〕

理由

一、争いのない事実

被告長野が被告会社の代表者であり、且つ被告会社の自動車運転の業務に従事している者であつて、昭和四四年五月二六日午后零時一五分頃被告会社所有の普通貨物自動車(千葉四ゆ八四二一号)を運転して木更津市住吉方面より同市本郷二丁目六番三号地先国道一六号線入口に差しかかつた際、君津郡袖ケ浦方面から木更津市長須賀方面に向け時速三〇キロメートル以上で進行して来る原告吉田運転のバイクと接触して同原告が負傷し、榎本病院に入院したこと。原告吉田が大工職であること。原告会社が同族会社であることは、いずれも当事者間に争いがない。

二、本件事故の状況

前記争いのない事実に、〔証拠略〕を綜合すれば、被告長野は被告車を運転して昭和四四年五月二六日午后零時一五分頃木更津市住吉方面から同市本郷二丁目六番二三号地先国道一六号線入口に差しかかつた際、同国道上には上り下りの自動車が連続走行していたので同所で一時停止し、二、三分停車している中に通過車が途切れたので約一メートル前進し、右国道上へ約六〇センチメートル進入したところ、右方からダンプカーが進行して来たので、同地点で更に一時停止し、それが通過したので前進を開始した途端、右ダンプカーの一、二メートル後方を進行して来た原告車の左側中央部に自車前部を衝突させたものであることが認められる。

被告長野は前記ダンプカーの通過を待つため停止していたとき、右方一八メートルの地点に原告車を認めたので、その通過を待つため、その儘その位置で停止している間に、原告が顔を斜右下方に向けたまま通過しようとして原告車の左側ステツプが被告車のナンバー・プレートに接触して本件事故が起きた旨主張し、〔証拠略〕中には右主張に副う部分があるけれども、これらは〔証拠略〕と対比して措信し難い。又被告長野が本件事故の目撃者広田清之進が作成したと供述する乙第一号証中にも同被告の主張を裏付ける記載があるが、反対尋問を経ていない右書証の内容をその儘たやすく措信することはできず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

三、被告等の責任

右認定事実に徴すれば、進路右方の安全確認を怠つた点において、被告長野に過失ありというべく、同被告は不法行為の、又被告会社は自動車の保有者としての、各責任を免れず被告等は連帯して本件事故により原告等が蒙つた損害を賠償すべき義務がある。

四、原告吉田の損害

(1)  入院治療費 金二七六、〇九〇円

〔証拠略〕を綜合すれば、原告吉田は本件事故により左下腿複雑骨折、顔面打撲挫創の傷害を受け、これが治療のため昭和四四年五月二六日から同年八月三〇日まで木更津市内榎本外科病院に入院し、その費用として合計金二七六、〇九〇円を同病院に支払つたことが認められる。

(2)  附添料 金六五、〇〇〇円

〔証拠略〕によれば、原告吉田の前記入院中その妻が附添看護していたことが認められるところ、附添料一日金一、〇〇〇円の割合で六五日分合計金六五、〇〇〇円の請求は相当と認める。

(3)  雑費 金一一、〇〇〇円

〔証拠略〕によれば、前記入院中雑費として一日金二〇〇円以上支出したことが認められるところ、右金額は内容を逐一せんさくするまでもなく現下の物価水準に照らして相当と認められるので、五五日分合計金一一、〇〇〇円の請求はこれを認容する。

(4)  通院治療費 金一五、五〇〇円

〔証拠略〕を綜合すれば、原告吉田は昭和四四年八月三〇日前記榎本病院を退院後同年九月二日から同年一〇月二一日までの間に一三回同病院に通院し、その治療費として金一五、五〇〇円を同病院に支払つたことが認められる。

(5)  再手術に要する費用 金五〇、〇〇〇円

〔証拠略〕によれば、同原告は前記左下腿複雑骨折により左足に止め金具が入れてあつて、疼痛を覚えて歩行困難のため、近い将来前記榎本病院でその摘出手術を受ける予定であるが、その費用として金五万円を要することが認められる。

(6)  逸失利益

原告吉田は本件事故による負傷のため得べかりし利益を喪失したとしてその賠償を求めているが、同原告は原告会社の代表取締役であるから、本件事故による負傷治療のため入院して全く仕事ができなくても、又作業能力が低下しても、代表取締役の地位を失わない限り、原告会社との契約に基づく役員報酬乃至給料は当然受け得べき筈である。而して〔証拠略〕によれば、大工としての作業は主に長男清治、二男勇や雇傭職人に任せ同原告はその指揮監督や原告会社の経営に当つていることが認められるから、左足に負傷したとて格別現在の仕事に支障を来たすものとは思われず、従つて代表取締役を解任される虞れはなく、逸失利益の喪失など到底あり得ないものと思料される。よつて逸失利益の請求は失当である。

(7)  慰藉料 金五〇〇、〇〇〇円

前顕諸証拠に表われた原告吉田の負傷の部位程度、入通院期間、予後の状況、経歴、現在の社会的地位、年令その他諸般の事情を斟酌すれば、同原告が本件事故により受けた精神的苦痛に対する慰藉料としては金五〇万円を以て相当と認める。

(8)  弁護料 金一〇〇、〇〇〇円

〔証拠略〕によれば、同原告は本訴提起に当り、千葉弁護士会所属弁護士樫尾昭一郎に訴訟委任し、その着手手数料として金一〇万円を支払つたことが認められるところ、右は同原告が権利実現のため必要な支出であり、且つ本件事故と相当因果関係にあるものと認められるのでこの請求は認容すべきである。以上原告吉田の受けた損害は合計金一、〇一七、五九〇円である。

五、原告会社の損害

(1)  バイクの破損 金二五、〇〇〇円

〔証拠略〕を綜合すれば、本件事故により原告会社所有の原告車は大破し、その修理費として金二九、七八五円を要するものと見積られ、他方本件事故当時における原告車の残存価値は約金二五、〇〇〇円であつたから、修理するよりも新車を購入する方が有利と判断して原告会社は原告車を廃車とし、これと同型の新しい原動機付自転車を代金六万円で川本一男から買受けたことが認められ、現実に修理したわけではないから、原告車の破損によつて原告会社が蒙つた損害は金二五、〇〇〇円と認めるのが相当である。

(2)  原告吉田に支払つた給与

〔証拠略〕によれば、原告会社は原告吉田が前記入院により実際仕事ができなかつたにも拘らず、昭和四四年六、七月分の給与として合計金一二万円を同原告に支払つたことが認められるけれども、これは前述の如く原告会社と原告吉田との契約上の義務の履行としてなされたものと認むべきであり、偶々原告吉田が病気で入院したとしても支払わねばならなかつた当然の支出であつて被告等にこれが賠償を求め得べき損害とはいえない。

原告会社は同族会社で(このことは当事者間に争いがない)、原告吉田の個人的な会社であると主張して、恰も自らの法人格を否定するかの如き口吻を洩らしているが、近時学説が提唱し、判例の採用するところとなつた所謂「法人格否認の法理」は、個人が法人の虚像に隠れて対外的責任を回避しようとするような場合、これと取引した相手方がその人格を否認して直接その実体をなす個人に迫り、当該法人と竝べてその責任をも追求しようとする場合に認められる法理であつて、自ら法人を設立して企業活動を営みながら、その内部的行為の結果を他人に転嫁することを許容する法理ではない。

尤も原告会社は、法人の外被を纒つた個人企業に外ならないと認められるから、その営業の盛衰は代表者個人の信用、活動能力等に依存するところ大なるべく、本件事故による原告吉田の活動能力の低下によつて原告会社の収益が減少すべきことは或る程度推認されるところであり、従つて被告等にその低減分の賠償を請求するならば或いは理由ありともいえよう(最高裁判所昭和四〇年(オ)第六七九号慰藉料竝びに損害賠償請求事件につきなされた昭和四三年一一月一五日同裁判所第二小法廷判決、最高裁判所判例集第二二巻一二号二六一四頁参照)。然し、それには原告吉田の負傷前における原告会社の収益と負傷後のそれとの差額につき厳密な主張立証を必要とするところ、それのなされていない本件にあつては、その点につき判断することはできない。

以上原告会社の損害の合計は金二五、〇〇〇円である。

六、過失相殺

被告等は、仮に被告長野に何等かの過失があるとしても、原告吉田の過失に比して極めて軽微であるから、損害額の算定に当つては同原告の過失が斟酌さるべきであると主張するが、本件は横道から国道に進入しようとする被告長野に事故防止につき万全の注意が要求される場合であつて、原告吉田は被告車に気付かずに進行していたと述べているが、仮に気付いたとしても、優先道路を進行する同原告としては被告車が自己に進路を譲つてくれるものと期待するのが当然であるから、原告吉田には相殺さるべき過失はなく、被告等の過失相殺の抗弁は理由がない。

七、結論

叙上の如く、原告等の本訴請求は、原告吉田については金一、〇一七、五九〇円、原告会社については金二五、〇〇〇円と前者の内金九六七、五九〇円に対する本訴状送達の翌日であること記録上明らかな昭和四四年九月四日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度においては理由があるからこれを認容するが、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九二条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して主文の通り判決する。

(裁判官 鍬田日出夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例